≪ 2017 10   - - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 - -  2017 12 ≫
*admin*entry*file*plugin| 文字サイズ  

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


せっかく中間活動報告をしたので、ブログに載せたいと思います。

結構長いので、ご興味のある方はどうぞ。

 

 

 

image赴任して1年が過ぎた1月の隊員総会で中間活動報告を行った。

 

 

 

 

 

image2010年1月から12月の1年間で、HIV/AIDS、マラリア、フィラリアの3つの感染症に対して感染症対策を行った。

 

 

 

 

 

image2010年の1年間の活動スケジュールは図に示す通り。

1月にPNG到着、2月に任地であるウェワクに赴任した。しかし、7月の隊員総会直前まで州政府のファイナンスが開かなかったため、保健局に予算がなく、活動が制限される状況であった。

今回の発表では時間の都合により、今後活動の中心となりうるフィラリア対策の活動報告とした。

 

imageリンパ管フィラリアは、蚊を媒体とする寄生虫疾患で、世界83か国、1億2000万人が感染している疾患である。

PNGでの病原寄生虫はバンクロフト糸状虫、媒介種はシマカ。症状としては、感染後数か月の潜伏期間を経て、発熱、患部の疼痛、慢性期では四肢や生殖器の浮腫や、皮膚の硬化(象皮病)を引き起こす。

これら四肢の機能的・外見的な障害により、QOLの低下・差別を引き起こし、雇用の低下、貧困へつながっている対策すべき重要な疾患である。

 

image

このリンパ管フィラリアについてグローバルプログラムであるリンパ管フィラリア撲滅プログラムが施行されており、感染の拡大を止めることと、病気による脅威を減らすことを目標に掲げている。

 

 

 

 

imageこのプログラムの具体的な活動は、感染者数のマッピングや、感染者数の推移を調査するBase Line Survey、薬剤投与により人の体内に潜むミクロフィラリアを殺すことによって感染の拡大を断ち切るというMass Drug Administration、感染の伝番を媒介する蚊のコントロールをはかるVector Control、感染してしまった患者へのケアの4つの活動があげられている。

 

 

imageこのプラグラムは流行国であるPNGでも国家計画として挙げられており、2005年から2012年で感染が確認されている16 Provinceで薬剤投与(MDA)を終了し、PNGでリンパ管フィラリアは撲滅完了の予定になっている。

しかし、このプログラムは、プログラムを遂行すべき末端の各州の保健局まで浸透しておらず、実際はこのプラグラムは実行されていない州が多い。

また、JICAとしてもMDAの薬剤の1つであるDiethylcalbamadineを提供しているが、各州でプログラムが実行されていないため提供している薬剤のほとんどは不良在庫となっており、すでに使用期限が過ぎている薬剤も多い状況となっている。

そこで、我々JOCVが関与し、プログラムを遂行するにいたった。

 

image当任地であるEast Sepik州では全Districtで感染者が確認されているが、Wewak Districtの離島のSchouten Islands、山間部のDrekikir、蚊が多く発生しているセピック川上流の3つの地域で特に流行している。

East Sepik州で最もリンパ管フィラリアが流行しているSchouten IslandsにあるBiem IslandをSentinel Site1、蚊の発生が多い地域であるセピック上流の1つの村であるMapsiをSentinel Site2と設定し、MDAの結果等をモニタリングしていく地域に設定した。

 

image1つ目のSentinel SiteであるBiem Islandで活動項目の1つであるBaseline Surbeyを行った。

Biem Islandはウェワクのタウン地区から40馬力のモーターボートで約6時間のところに位置しており、人口約1,800人、敷地面積約4.9km2、集めたサンプル数は572(男性284、女性288)、被験者平均年齢は24±16歳、感染の有無はInverness Medical社のフィラリア迅速検査キットBinax Now Filariasisを用いて検査を行った。

 

image結果は被験者572人中48%の273人がミクロフィラリアに感染していた。

なお、ミクロフィラリア陽性者と陰性者の間に年齢(陽性者:27±16歳、陰性者:21±15歳)、性別(陽性者:男性141人、女性132人、陰性者:男性143人、女性156人)に差は見られなかった。

また、検査時に蚊帳の使用の有無を尋ねたところ、572人中64人の11%しか蚊帳を使用していなかった。

今回訪れた印象では、Biem Islandはセピック川流域のように蚊が多いわけではないのに、なぜこのようなPositive Caseが多いのかを考察した。

 

imageBiem IslandはSchouten Islandのほかの島に比べて人口密度が高く、さらに、他の島では住民は島内に広範囲に散らばって生活しているのに対して、Biem Islandでは島内の一部分に密集して生活しているため、計算値以上の人口密度で生活している。

そのため、媒介蚊の絶対数が少なくても、媒介蚊の可能な飛行距離内に宿主となる人が密に生活していることにより蚊による伝番が容易になっている可能性がある。

ゆえに、このような高い人口密度の生活環境による媒介蚊の容易な伝番、蚊帳の低い使用率、ブッシュマテリアルの隙間の多い住居などが要因となってこのような高い感染率になっていると考えている。

 

image今回Baseline Surveyで訪れたSchouten IslandsのBiem Island、RupRup Island、Wei Islandでリンパ浮腫、象皮病患者の状態、症状等を調査した。  

Biem Island 12症例、RupRup Island 4症例、Wei Island 2症例の合計18例(男性11、女性7症例)を確認することができ、平均年齢44±18歳(男性48±20、女性38±20歳)、病変部は足16例、陰嚢1例、腕1例、乳房1例(患部複数保有者あり)であった。

以下に3症例のみ記す。

 

image症例1:Biem Islandの16歳女性。

患部は左下肢、皮膚の硬化、定期的な発熱、患部の疼痛がいずれもあるとのこと。

右下肢と比較すると、脹脛周囲で右下肢33.5cmに対し患部の左下肢51.4cm、足首部で右下肢22.5cmに対し、患部の左下肢41.5cmと著しく肥大していた。

 

 

 

image症例2:Wei Islandの68歳男性。

患部は両下肢と左上肢。定期的な発熱、疼痛もあり、皮膚は著しく硬化していた。

等症例の同居人である妻も左下肢に浮腫が確認された。

 

 

 

image症例3:Biem Islandの55歳男性。

患部は陰嚢。定期的な発熱、疼痛あり。陰嚢は著しく肥大していた。

 

 

 

 

 

image今回調査を行ったSchouten Islandsはタウン地区から非常に離れたところに位置しており、そのうえ定期的なトランスポートがなく、個人のボートでタウンまで往復するには燃料は約2ドラム(400L)≒約1,700キナ(≒56,100円)と非常に多額である。

このようにタウンまでのアクセスが悪いことより、蚊帳などの必要物品の購入・運搬が困難であり、高い感染率に起因していると考えられる。

また、Schouten Islandsではそれぞれの人口の割に給水タンクが不足しており、タンク内の水は常に空の状況がみられた。

住人は海(海水)で身体等の洗浄を行っており、この状況では、患部を清潔に保つことは難しく、二次感染を引き起こし患部の悪化につながっているのが理由づけられる。

一方、個々の島の人口はそこまで多くはなく、人の移動も少ないのでMDAが実施しやすいような環境であることが確認できた。

これらSchouten Islandsの特徴から、高い服薬率のMDA、Water Supplyの整備、蚊帳の普及がリンパ管フィラリアの感染対策に有効かつ必要であることが確認できた。

 

image

2011年の活動プランとして、もう一つのSentinel Siteであるセピック川上流域の村であるMapsiでのBaseline Survey、その後、流行地域での1回目のMDAの実施を年内に行い予定である。

また、今回確認したような症例の患者本人と家族に対してのリンパ浮腫の管理方法の勉強会の開催もBaseline SurveyやMDAの実施時に行う予定である。

また、当任地のJOCV理学療法士やその配属先の州立病院と協力して、これらリンパ浮腫に対して世界的にスタンダードに行われている複合的理学療法を実施する予定である。

この複合的理学療法については在外技術補完研修制度を用いてさらに知識・技術を習得しようと計画中である。

 

 

以上です。

長々とありがとうございました★

スポンサーサイト


この記事へコメントする















mah-kun

Author:mah-kun
2010年1月12日~JOCVで感染症対策隊員としてPapua New Guniea (PNG)で活動します★

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。